登録販売者初心者🔰さんのお手伝い ー貧血ー

疾患

普段からよく聞く『貧血』。女性に多いイメージですね。立ちくらみがする(※)、いつも顔が青白い、月経前後にフラフラすると「貧血かなぁ~(~_~;)」なんて思ったりします。
※『立ちくらみ』は、脱水起立性低血圧でも起こるので、立ちくらみ=貧血とは限らないことを覚えておきましょう。

店頭に貧血で相談に来られる方は、鉄分不足による『鉄欠乏性貧血』の方が多いのですが、貧血には他にも種類があるので、併せて紹介していきます。

貧血の種類

鉄欠乏性貧血

食事からの鉄分の摂取不足(ダイエットや偏食など)や、消化管からの出血、女性においては月経などにより、鉄分が不足することで、発症します。

鉄分が不足すると、それを材料にしているヘモグロビンが減少し、全身に十分な量の酸素を送ることができなくなるため、次のような症状が出ることがあります。

・動悸
・息切れ
・全身のだるさ
・皮膚が青白い
・あかんべー(下まぶたを下に引っ張る)すると血の気が無く白い
・スプーン爪(スプーンのように爪が反り返る)
・無性に氷が食べたくなる

鉄欠乏性貧血は、食生活の改善や、鉄分のサプリメント・医薬品などでの改善が期待できます。
これらで対処できるのは、この鉄欠乏性貧血だけです。

巨赤芽球性貧血

体内のビタミンB12や葉酸が不足することによって、骨髄で赤芽球から赤血球になる過程で障害が起こり、正常な成熟ができず、未完成の赤血球(巨赤芽球)が作られてしまいます。
※全ての造血の過程に影響があるのですが、特に赤血球に影響しています。

巨赤芽球は、赤血球より大きく、酸素を運ぶこともできず、ほぼ壊れていきます。その結果、赤血球が不足して、貧血となります。

体内のビタミンB12や葉酸が不足する原因には、単に食事からの摂取不足だけではなく、胃全摘手術を受けた方(手術を受けてからかなり年数が経った方)、萎縮性胃炎(胃酸が出づらくなる)、胃酸の分泌を抑えるお薬や、葉酸の吸収を阻害するお薬の長期服用などがあります。

ビタミンB12は食事から摂取した場合、胃酸によってタンパク質から遊離(離れて)して、胃から分泌される内因子によって小腸から吸収されるため…(はい、もう難しくなってきましたね(;^ω^)難しく考えなくていいですよ~)、胃酸や内因子を分泌する場所の『胃』が無い、または、内因子が分泌されない、胃酸を抑える薬を飲んでいて胃酸が少ない状態の場合、たくさん摂取しても吸収されないんですよね…。サプリメントは、タンパク質から遊離させたものなので全く効果がないわけではありませんが、補えるほどの吸収力はないようです。

症状は、かなり進行するまで出ないようですが、貧血症状定番の動悸、息切れ、疲労感などの他に、舌炎消化器症状神経障害なども出てきます。

接客ポイント

胃全摘手術を受けた方は、食事からの栄養がうまく吸収できず、鉄分不足による鉄欠乏性貧血になる方もいらっしゃいます。その方には、鉄分のサプリメント・医薬品などでの改善は可能です。しかし、ビタミンB12不足による巨赤芽球性貧血の場合は病院での治療が必要となります。店頭での判断はできないので、まずは受診勧奨ですね。

再生不良性貧血

これは、医薬品の『相談すること』に表記されている症状です。かといって、医薬品の副作用だけで起こるものではありません。この病気を生まれつき持っているという先天性もあれば、後天性(放射線暴露、妊娠、肝炎など)もあります。

骨髄で血液が作られる際、造血幹細胞から赤血球や、白血球、血小板などが作られますが、その造血幹細胞が減ってしまうことにより、これらが作られなくなります(汎血球減少症[はんけっきゅうげんしょうしょう]といいます)。結果、赤血球の減少により、酸素が全身に十分に運べなくなるので動悸や息切れが起こり、白血球の減少により、発熱したり感染症にかかりやすくなったりします。血小板の減少により、青あざ、鼻血、歯ぐきからの出血などが起こるようになります。
血液自体が減るので、鉄欠乏性貧血と同じような症状も出ることがあります。

医薬品を服用していてこのような症状が出た方が来店された場合、早急に病院に受診するようにお伝えしましょう。

溶血性貧血

赤血球が必要以上に壊されて発症する病気です。赤血球が、本来120日ある寿命より短い寿命になります。

原因も様々ですが自己免疫性(自分の抗体が赤血球を敵とみなし、攻撃して破壊してしまう)が大半を占めます。
赤血球の破壊が進むのでビリルビンが体内に増えて、黄疸(白眼や皮膚が黄色くなる)が出たり、脾臓が腫れたりすることもあります。

赤血球が減少することで、動悸や息切れなどの症状も出ます。

非常にまれな病気なので店頭で応対することはほぼないとは思いますし、判断もできかねます。
動悸や息切れ、貧血症状で相談に来られた場合は、貧血での対応に加え、症状が改善しない場合の受診勧奨も忘れずに。

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